ぎふに行ってきた
岐阜に行ってまいりました。
一体なぜ片道3時間近くもかけて岐阜に行ったかといえば.....
ここに来るためです。
ご存知の方もいるでしょう。「みんなの森ぎふメディアコスモス」です。
この建築は「せんだいメディアテーク」などを手がけた建築家である伊東豊雄さんが設計した図書館とコミュニティスペースが合体した複合施設です。
木造のグリッドとその間にはめ込まれた鮮やかなガラスの外観も素敵なのですが、この建築の素晴らしさはやはりその内部空間にあります。
というわけで中身はこんな感じ↓
もっと写真が見たい方はこちら
ご覧の通り、薄い木の板を何層か組み合わせることで自由曲面のぐにゃぐにゃした天井が作られています。これだけの大空間を作ろうと思えばどうしても体育館のように単調な印象のハコになってしましがちですが、伊藤さんは曲面と板を重ねることで生まれる奥行き感を用いて大空間の中に変化をもたせています。
実寸大模型↓
そしてこの天井の下にさらに屋根をぶら下げることでこの空間はまた変化します。
室内なので屋根自体の機能性は失われているように思われますが、象徴性は健在です。写真でもわかるように屋根を吊るすことで屋根の下という空間ができ、それが全体の空間と連続しつつも、また違った質のものになります。だだっ広い図書館の中にいてもこの屋根の下は独立した領域のような雰囲気で、落ち着いて本を読んだり、勉強したりできます。壁なしで空間を作るというのが象徴的で面白い。
というふうにこの建築の面白さを語ってきたわけですが、本当に素敵なのはここにたくさんの地元の人が来ているということです。毎日何かしらのイベントが開催されていて、図書館以外のコミュニティースペースにもたくさんのひとが集まっています。(写真に人があまりいないのは、人がいる写真をブログにアップするのはマズいから)
僕が行った日も学校帰りの高校生だらけで、勉強なり読書なりおしゃべりなりをしていました。帰り道にふらっと寄って、こんな建築の中で思い思いの時間を過ごせるというのは羨ましい限りです。ここにきている生徒たちもそれを知ってか知らずか、どこか誇らしげで充実した様子でした。もちろん大人たちもまた然りで、たとえば図書館の書架の様子も工夫の跡が見られるもので、建築に負けじと職員さんたちも張り切っているのだと思います。
やはり建築は使われてこそ、使う人間を満足させてこそ、そして少しでもひとを幸せにしてこそのものだと思います。
このみんなの森が素敵なのは建築が公共建築として地元のひとの生活の中に溶け込んでいて、かつその人たちにとってどこか胸を張れるようなものであることです。確実に生活を充実させ、建築の中にいる人たちをいい具合に刺激する、そんな建築であると思います。
というわけで、今回は真面目な建築についてのお話でした。
こんな図書館が家の近くにあったらなと、ほんと羨ましくて仕方がない。
そして、いつかこんな素敵な建築を設計したい。
おしまい